小説ランキング(すごいタイトル編)
ブルボン小林の「ぐっと来る題名」を読んだので、ぐっとくる、というか好きなタイトルの小説を選んでみた。特に基準とかないです。
1位.日本以外全部沈没
筒井康隆め!(憎らしいほどすき)よく小松左京がOKしたなと思う(したのか?)。「日本沈没」というタイトルの衝撃力を4文字で完全にトホホ感に変換した。ものっすげーバカっぽくなっている。サイコーである。
2位.月は無慈悲な夜の女王
ロバート・A・ハインラインのSF小説。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」と並ぶド定番。しかし、これよりかっこいいタイトルもそうそう無い。リズムも妙に良くて、「よるのじょおう」とすると7、5の字余り「よるのじょうおう」とすると下の句のように聞こえる。助詞が重複していないのも美しい。なお、本編には女王は出てこない。エロい月の女王的なキャラクターが出てくると思うじゃないですかやだー。SFタイトルにどうしても惹かれてしまうのはゴーストスイーパー美神の影響である。おかげとも言う。
3位.青鬼の褌を洗う女
坂口安吾の短編。静かな狂気を感じる。褌を洗う女は、どんな風に褌を洗うだろう。多分、黙って、淡々と洗っている気がする。楽しそうでも悲しそうでも怒っているわけでもなく。青鬼の褌を洗っていること自体すでに狂っているのに、女にとってそれは手段でも目的でもないような気がしてくる。女が青鬼の褌を洗っているのではなく、青鬼の褌を洗うのが女、なのだという説得力。パワフル。
4位.天の光はすべて星
フレドリック・ブラウンのSF。この字面を見ただけでロマンチックが止まらない(SFはタイトル専門の凄腕翻訳者みたいな人がいるのではないかとずっと信じている)。実はおっさんの自己実現みたいな話なのだが、タイトルからは想像もつかない(良い意味で)。
5位.すべてがFになる
初見では「むむ!」と思い、中を読んでから実はネタバレになっていることがわかるという挑戦的タイトル。アルファベット一文字を使ったタイトルってなんかかっこいい。深読みを誘うし、あれがFか、これがFか、もしかしてあいつがFなのか!?と思っていると見事に裏切られる。
6位.バルタザールの遍歴
佐藤亜紀のファンタジー小説。キリスト教的な固有名詞を使われてしまうと中2ゴコロに火がつくぜ。ここに居る者の中で、Melchior、Balthasar、Casparというマシン名を付けたことが無い者だけが私に石を投げなさい。
7位.ほかに誰がいる
朝倉かすみのヤンデレ百合小説(と言っていいのか)。シンプルな言葉の組み合わせだが、ジッと見つめられているような怖さが良く出ている。作中にブランキー・ジェット・シティの★★★★★★★が登場するので嬉しい(俺が)。
8位.風速四十光年
無責任艦長タイラーシリーズの8巻。意味は、時空の歪みだかなんだかが宇宙を移動してくる自然現象「台宙」の移動速度。何かこうグッと来る響きである。こういうのを二物衝撃っていうのか、組み合わせの妙である。
9位.モーダルな事象―桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活
モーダルの意味がわからないために「なんか賢そう!」という印象を受け、サブタイトルを見て「なんかアカデミック!」と思い、しかも「本格ミステリ・マスターズ」というラインナップの一作なので読む前に盛大に勘違いする。そりゃあ福山雅治みてーな顔した眼鏡の美中年がその博識っぷりを披露しつつ、ちょっと抜けてる美人助手のうっかりをヒントに事件をスタイリッシュに解決したり紅茶を飲んだりするミステリ小説だと思う。スタイリッシュて書いてあるし。誰だってそう思う。俺だってそー思う。しかし、福山と言うよりは温水で、ミステリと言えるかもかなりギリギリ。タイトル詐欺の一冊。(めちゃくちゃ面白い)
10位.おっぱいバレー
これも二物衝撃、のような気がする。しかし、今俺は二物衝撃と書いてもおっぱいにバレーボールがぶつかるところしか想像できない。すごい低速度撮影できるカメラを用意し、風雲たけし城からジブラルタル海峡を守ってたあのマシーンを借りてきて、おっぱいを横から精密射撃、女は直立不動、衝撃波がおっぱい面を伝播する様子をあますことなく伝えるそんな自主制作映画を!一心不乱の大映画を!インディペンデント系の監督が、園子温あたりに大金積めば・・・、ってことはサイタマのオッパー?韓国映画かよ、なんだこれ。途中から意識に書く手が追いつかなくなった。字面から想像される絵が凄いので仕方なく10位にランクインさせておく。くやしい。おっぱいの吸引力は偉大である。