ガタガタ鰯太郎A

〜鰯太郎Aは二度死ぬ〜

この上なくロマンティックで複雑

 自宅に「運命日占い 決定版2016」という本が転がっていた。これは結婚によって生じた生活の変化(望むと望まざると)のひとつだが、最近のおれは変化をポジティブに受け入れる柔軟な姿勢を示している。何しろ柔軟剤だって使っているのだ。
 で、開いてみると、ど頭から「2016年はこの上なくロマンティックでーー複雑!」。この笑顔で暴力、みたいな言葉のパワーとシズル感はどうだろう。変化を受け入れるポジティブなマインドを心掛けてはいるが、こう溌剌と適当な言説を流布されてしまっては否応なくおれの皮肉エンジン(直列1亀頭)が始動していまい、冬の朝に冷えた部屋のテンションが急上昇していく。多分疲れてるのよ、わたし。
 それにしても、この上なくロマンティックで複雑。2016年以外に、他のどんな現象がこの上なくロマンティックで複雑であり得るだろうか。もしかして、恋?言ってておれもなんだかよくわからないが、実に扇情的である。一体全体、どんな言語野からこういったパルプでエコノミックなフレーズが飛び出してくるのか(これは皮肉抜きで)驚きを禁じ得ない。
 この奇書の目次は、『※「運命日」は日本の東京を基準に鑑定しています。海外滞在時は時差を考慮してお読みください。』という注釈で締めくくられていた。なんやねんその気の使い方。