ガタガタ鰯太郎A

〜鰯太郎Aは二度死ぬ〜

劇場版 魔法少女まどかマギカ 叛逆の物語が面白かったので考察と言う程でもない感想メモを書きつつステマしておこう

  先日、川崎で劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語を見てきました。すごいおもしろかった(小並)ので、感想を書きます。前半はネタバレなし、後半はネタバレあり。

まだ見ていない人へ(ステマ)

 えー、すごいです。TV版を完走したのであれば、絶対に見るべきだと思います。この映画の唯一の欠点を挙げるとすれば、「TV版を見ていない人には話がサッパリわからねーだろう」ということです。それ以外に、欠点らしい欠点が見当たりません。パーフェクトです。

 大風呂敷を広げてしまった物語を綺麗に畳むのが如何に難しいかは、過去の様々なジャンルにおける作品が証明しています。製作サイドの意図や表現は色々で、こっちがそれを飲み込みきれてないということもあるんでしょうが、上手くいっていない例として、個人的にはドラゴンヘッド(最終巻)、エヴァンゲリオンTV版(25、26話)くらいを挙げておけば十分かと思います。

 そういう意味で、まどか☆マギカTV版のシナリオはこれでもかというくらい綺麗にまとまっていました。まとまりきっていただけに、蛇足にならない続編を作るのはもっと難しい。正直、本編と整合しない設定を用いたパラレルワールドにおけるアナザーストーリー、キャラクターが代替わりするなど、同タイトルでも別の物語としてのアフターストーリー的なものでお茶を濁すのだと思ってました。

 で、結果どうだったかというと、劇場版「叛逆の物語」はTV版まどか☆マギカの正統な続編でした。もちろん主要キャラは5人とも登場します。加えて新キャラも出ます。ぽっと出てきた為にどこか浮いている、なんてこともありません。必然的に登場します。時系列で言っても、TV版最終話のすぐ後に繋がる話です。

 正統な続編を、TV版の物語の流れから齟齬無く、浮かない新キャラも用意し、更にファンが見たいと願望する絵がきっちりと描ける脚本を用意したのはすごいことだと思います。虚淵すげー。

 イヌカレー空間とかアクションの動きとか見どころは他にも沢山あるんだが、とにかく、見てない人はTV版を見て、劇場版「叛逆の物語」もすぐ見よう(提案)

もう見た人へ(以下ネタバレ含む)

 おもしろかったねー!前段に書いたように、個人的にはとにかく脚本がすごいなーっていう印象だけど、多分それ以外も色々すごかった。当日映画館で見てて思いついたことを書いておく。

TV版/魔法少女モノのパロディ

 新編がTV版そのものと似た構造をしているのはもちろん意図的なのだろう。このため、TV版と劇場版が対になっていることが強く印象づけられる(結末も含めて)。それと、序盤はTV版1、2話である種の層が期待したであろう「魔法少女がナイトメアと戦う正統派萌えアニメ」のパロディを、5人のメンバー勢ぞろいでやっている(同じ映画館でプリキュアをやっていたので、ちょっと笑ってしまった)。ダンスをモチーフにした全員分の変身バンクもあって、意地が悪いなぁと思った。これじゃまるで魔法少女モノみたいじゃないですか。

納得感のある説明が用意されている

 どっかの考察にも挙がっていたが、時間停止を喰らわないためにマミさんがほむらの身体にリボンを接触させて戦っている。細かく検証しだすと、(動ける動けないの判定はどうなってんのとか、ダミーといつすり替わったの、とか、ダミーだとするとマミさん本体がリボンと接触してなくねとか、有効射程距離は、とか)辻褄が合っていない部分が出てくるのかもしれないが、そういうことはわりとどうでもよい。「なんでマミさん動けるの?」と疑問に思った時にそれに答えがちゃんと用意してあるのが大事だ。そもそも荒唐無稽な能力(時間を止めるんだもん)についてあらゆるレベルで整合してて欲しいと考えるのはアホだし、重箱の隅をつついても意味はないが、納得感のある演出がされていることに、「おおっ」と感じる。

新キャラの出し方が上手い

 もうひとつは新キャラとさやかについてで、円環の理に救済された魔法少女は神まどかの使徒のような存在になっている、という設定が非常に効いている。マミさんのマスコットとしてベベが付き従っているのは、「魔法少女」の記号として借用されているだけでなく、魔女としてのベベになる以前の魔法少女、なぎさの存在を示唆している。ただ新キャラ出しましたというだけでなく、TV版で最もインパクトのあったシャルロッテ/ベベを持ってくることで、浮いた印象にならない。(エヴァにマリが出てくるって言われてもピンと来ない感じがあるじゃないですか。まだ見てないけど。)

ビューティフル・ドリーマーのオマージュ

 おっさん層はバスのシーンですぐに気づくと思うが、明らかにビューティフル・ドリーマーを意識した物語になっている。そうすると、となり町行きのバスに乗ってキョーコとほむらが見滝原から出られないことを確認した時点で、「夢を見ているのは誰か?」ということが連想される。その問いが浮かぶと、犯人がほむら以外にいないということもすぐにわかってしまう。人間まどかの記憶を持っているのはほむらだけなので、夢の中にまどかが登場しているということが、「夢を見ているのはほむら」という証拠になる。オープニングで明らかにほむらがしんどそうなのもヒントになっているし。