ガタガタ鰯太郎A

〜鰯太郎Aは二度死ぬ〜

将棋を指すならNEW YORK?

 将棋はマイナーだ。よく似たゲームのチェス人口が7億人くらい居る(らしい)のと比べると、随分開きがある。現役のプロ棋士は100人程度、現在の制度が出来てからの通算でも300人くらい。とても狭い世界だ。

 おれは棋士が本当に凄いと思っている。尊敬している。だから、棋士の先生方がメディアに出る時に面白おかしく扱われることがあると、ちょっと腹が立つ部分もある。例えば、ご本人のキャラクターもあって「ひふみん」なんて呼ばれてるけど、本来は加藤先生とお呼びするべきなのだ。ちょっとくらいネクタイが長くてもオッケーなのは加藤先生が神武以来の天才だからであり、巨人軍終身名誉ナントカだって神宮球場の裏手に一茂を置き忘れて帰ってきたのだから(諸説あり)、加藤先生が滝を止めるくらい、何の問題があるというのか(無い)。

 番組のノリで森内名人に暴言を放った小籔はともかく、渡辺竜王に上から目線で説教カマした極楽とんぼの加藤は、ちょっと反省して欲しい。いや、別にしなくてもいいけど。でも、名人ってどれくらい名人なのか、竜王ってどれくらい竜王なのか、わかっているのだろうか。ウインブルドン優勝経験者に「グランドスラム目指せよ!何日和ってんだよ!」とか言うか?言わないだろ普通。

  例えば名人戦がどれくらい権威のあるタイトルなのか、将棋界を知らない人にはあまり伝わらない。名人戦は5部まであるプロだけが参加するリーグ戦で、1部リーグの優勝者が前年の名人と七番勝負を行うタイトル棋戦だ。

第74期名人戦・順位戦 七番勝負/A級

 A級は本当に魔窟である。「月下の棋士」に描かれたのは妖怪悪鬼ひしめく昭和の魔窟だったが、羽生世代の方がむしろタチは悪い。全員強過ぎる。もしおれがこのメンツに放り込まれたら、一体どうすれば良いだろう。

 目が覚めてまず投了。便座に腰掛けて投了。水便を内ももにびち撒いて投了。トイレットペーパーが切れており投了。トランクスに渾身の封じ手。放心状態で猫に餌をやりながらまた投了・・・あと何回投了すればこの地獄から逃れられるのか。終わりが無いのが終わり、などと言いながら全自動投了マシーンと化したおれが家電リサイクル法に救われる未来が見えねー。

 バルセロナレアル・マドリードチェルシーリバプールサンパウロバイエルン・ミュンヘン、アフリカ大陸ベストイレブンマッドサイエンティストが培養したロナウドクローン(全盛期)11人のFCベスト・ロナウド、そんなリーグ戦に、FCマツコロイドで挑むくらい絶望的。スクウェアエニックスナムココナミセガタイトーハドソンに挑むサン電子の心境だ。一揆を起こそうにも、あまりの不作で初手から餓死してるような状況なんですよ。何の話をしてるんでしょうか。

 本当は、羽生先生がいかに凄いかを書こうと思っていた。羽生先生は、挙げた例ならだいたいFCベスト・ロナウド相当と思って良い。それでわからなければ、ドキッ!室伏だらけの陸上大会を想像してもらっても良い。あるいは・・・まで、1263文字をもちまして羽生永世棋聖の勝ちでございます。あれー?もう感想戦?おれは羽生先生をなんと呼べばいいのか。称号がありすぎて呼び方がよくわからない。こんな存在はエリザベス女王か羽生先生くらいなのではないか。うーん。うーん。横からサイボーグ化された大山先生が「Hasta laないと思ってもVistaっている・・・baby」と言い残して溶鉱炉に沈んだ。(投了図) 

iTunesのプレイリスト?が?共有?出来ない?できてる?

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https://itunes.apple.com/jp/playlist/jun-renga-yongri-kuanginagara/idpl.26d141f68f40425fa12a19593e2e4db0

簡単に共有できそうなもんなのだが、何故か共有できていないっぽい。(開こうとするとiTunesのインストール画面が出ちゃうんだけど、なんでだろう)

 

iPhoneから開いたら上手くいくのだろうか。と思ってiPhoneから開いてみたが、iosが「unsupported url」 などと供述しており要領を得ぬ。

流出するパトス達

 プライバシーの概念は随分発達してきているけれども、迂闊さが台無しにするというケースは少なくない。ウェブ上では警戒していても、物理的に迂闊な人間というのはなかなか減らない。

 取引先との打ち合わせの帰りに、エレベーターで社内のうわさ話をしているオッサンやオバハンに出くわすことは珍しくもない。地元の中華料理屋で商店会長の悪口を肴に盛り上がるジジイ連の大声や、タイ料理屋でグリーンカレーの箸休めに同僚の男関係を腐す性格の悪そうなOL二人組のよく通るヒソヒソ話。おれは、そういう場面に出くわした時に必ず、iphoneの録音機能を立ち上げるようにしている。全く知らない人間達の間に交わされる日常の会話はどんな創作よりも生々しい迫力に満ちている。

 電車に乗ってきた2人の中学生が、何やら真剣な表情で語り合っているのが聞こえてきた。

「・・・うん。スクウェア・エニックスの漫画。」

「へぇ・・・出るとこ出てんの?」

「・・・結構エロいよ。」

 こういう、ハッとするような言葉がそこら中で交わされていると思うと居てもたってもいられない。出るとこ出てる。このボキャブラリーを獲得するに至った中学2年生男子の生い立ちはどのようなものだろうか。まだ幼さを残す彼らの表情は輝いている。制服の膝もテラテラに輝いている(これは摩擦熱によるものである)。

 帰宅の途中、今度は駅前の本屋で、官能小説をレジに差し出す75歳くらいの老紳士に出会った。頬が赤い。酒焼けだろう。数十分前に見た少年たちの60年後の姿がここにある。熱い。熱い2016年。そして今日出会った男たちが皆、あまりにも迂闊である。昭和生まれも平成生まれも関係ない。駄々漏れの熱いプライバシーをありがたく押し頂いて、おれは家路についた。