36位「Sunny Sunny Ann! 」山本美希

　俺はいつになったらランキング形式で、オススメの漫画ベスト100を紹介できるのだろうか  ２本目。

　自由な心を持つアンが車で旅をしながら、老いた富豪と若い娘の夫婦や、親子喧嘩中の母と娘、様々な人に出会い、身体を売ったり、人助けをしたりしながら関わって、やがて別れてまた旅に出る、ロードムービー的な漫画。

　無頼感漂う主人公アンのキャラクターが実に良い。奔放ではあっても決して放埓ではない、というところが俺の好みにバッチリあっている。なんというか、精神が独立しているのだ。絵柄のせいもあるかもしれないが、アンの流儀、感じ方はどことなくチャールズ・ブコウスキーを連想させる。実にパンクだ。

　

　トーンを使わずに描かれた、陰影が濃く筆圧の高い独特のタッチの絵で、一話ずつに重いテーマの映画を一本見終わったかのような重量級の読後感がある。孤独や、帰るべき家（を持たないこと）、家族と社会と人との関わりについて、アンと人々の間で交わされる会話が温かい。その温度が、ウェットでないところが素晴らしいのである。