2015私的音楽アワード
2015前半は、家で発掘したビートルズ全集をかけっぱなしにしていた。後期のアルバムはどれも良い。中でもAbbeyRoadは完成度が高すぎて引く。
Bang!Bang!こんな曲を書いてしまうポールが狂ってて実に嬉しい。
AppleMusicを導入してからは、「Rez」のサントラを見つけたのをきっかけにチップチューンがプチブームになった。Anamanaguchi、ヒゲドライバーが良かった。
Anamanaguchi。ゲームボーイを楽器として使う外人オタク・チップチューンバンド。
ヒゲドラ。純国産の正統派オタク・チップチューン。ファミコン時代をリアルに体験した者にしか出せない出汁が効いている(適当)
チップチューン期と並行して、たまたま見つけたBombay Bicycle Clubが俺にクリティカルヒット。クラブというより草ッ原でガンガン踊ってる感じの土着的でダンサブルなリズム・セクションと、開放弦とハイポジションを同時に弾く妙な(「オレ押さえ」風の)コードが冴えない外見とあいまって5兆点。クラブミュージックもロックバンドも好きだし、あんまりフェスとかクラブとかには行かないというような人におすすめしたい(良くわからないが)。
9月末には、サカナクションが新宝島リリース。最近の日本人アーティストの曲は、サイケ/シューゲイザーっぽいニュアンスを取り入れている曲が多い気がする。例えば、この辺とか
この辺とか
の感じ。
いいですよね新宝島。サイケだけど、謎の昭和感。
10月には、黒木渚の「自由律」が出た。順調に売れているようで嬉しい。「椎名林檎が出産だのなんだので空けた席を狙う系女子」と見せかけて、虎視眈々ともっとハイブロウな位置を狙ってる系女子。日本語選択のセンスが最高なので、そのうち俳句を詠んだりエッセイや小説を書いたりしそうな感じがある。
一般的な生活の場に於いては、会いたい時に「会いたい」と言い、ムカついた時には「ムカついた」と言うのは重要なことだ。しかし、歌詞にそう書いてあるのは、あんまり粋ではない。黒木渚の歌詞は、言わば散文的な所に飛び抜けたセンスがある。心情よりも、事物の描写や羅列だ。「首に腫瘍のある鳩は今日も時計台の下にいる」「都会の小さな公園で弾かれてしまった透明な存在」こんな風に並べておいて「弱音を吐きそうなこの口に孤独の種を放り込む」こういう技だ。最高だしすごい好きなので、黒木渚にはプライベートな意味での幸せを手に入れないで欲しい。実に勝手な話だが。
MVのセンスについてはどうしようもないとしか言いようがない。悲しくなるくらいダサい。切腹ものだよこれは。オッサンに女性アーティストのMVを撮らせると、結局こういう矮小な、というか卑猥で短小な「女子」のイメージに押し込めちゃうじゃないですか、などと私は意味不明な供述を繰り返している。要するにこの監督は気持ちが包茎なんだよ。だから、ソフィア・コッポラとか蜷川娘とかに撮らせてみたら良いんじゃないか?どっちも、撮る映画は俺ぁよくわかんねえけど、MV良さそうだろう。どうだ?なあ?
それでは、来年もよろしくお願い申し上げます。