ガタガタ鰯太郎A

〜鰯太郎Aは二度死ぬ〜

レバニラよ、暁に燃えよ

 今日、1/28。生まれて初めてレバニラ炒めを食った。これまでの人生、敢えてレバニラを避けてきた訳ではない。それが誰に薦められた訳でもなく、メニューの上のレバニラ炒め定食に自然と手が伸びたのである。世田谷区に舞い降りた奇跡、レバニラにラブソングを。店員は片言の日本語であった。レバニラ・イチョーウ・ハイリマス。つまり、今日はレバニラ記念日であろうか。

 世界は様々な事象に溢れている。例えば、踏切の警報機。特売のキャベツ。人通りの少ない商店街。下校路でランドセルの中身をぶち撒ける小学生。強風で倒れる自転車。大事なことを忘れたような気がする瞬間。

 人間の一生を余さず録画していたら、何も起こらない日は無いのだろう。自転車に乗れた日、逆上がりができた日、うっかり肛門にビー玉が入ってしまった日、このサラダが良いねと君が言った日、あらゆる記念日が制定されようとしている・・・俵万智の手によって。

 特別な人の命日を◯◯忌と呼ぶ。太宰治の命日は桜桃忌、坂口安吾の命日は安吾忌。死も、それなりに特別な事象だ。だから一種の記念日になる。けれど、人が死なない日など無い。いちいち印をつけていてはカレンダーが真っ黒になってしまう。死んだ人間の事は早く忘れるに限るのに。