ガタガタ鰯太郎A

〜鰯太郎Aは二度死ぬ〜

カレーうどん、ベスト8で敗退する

 だいたいカレーうどんというのは、雑な食い物なんですよ。最初にカレーうどん作った奴って、多分バカだったと思うんですよね。
 
 カレー、美味えなあ!っつって、うどん、好きだなあっ!つって、混ぜちゃおっかなあ!なんつって、そんなことするのはバカに決まってるじゃないですか。
 
  だから、カレーうどんってのは、雑な食い物であることを宿命づけられた、呪われた時代の落とし子なんですね。歪んだ欲望によって産み出された、悲しき合成獣なんです。だって両方とも好きだから混ぜちゃおうなんて、犬と猫でやったら立派なマッドサイエンティストですよ。つまりストレンジ博士の異常なラブなんですよね。
 
 わたくしも、ゴタブンに洩れずバカの一人なのであります。私が如何にしてカレーうどんを愛するようなったか?カレーもうどんも好きだからに決まってるじゃないですか。マッドサイエンティスト万歳。
 
 それで、カレーうどんについては雑で良い、それは出自から立ち昇る卑しさであり、私はその猥雑さに何処か安心しているようなところがありました。
 
 お茶の水駅から神田明神の方向へ5分ほどのところに、「竹や」ってうどん屋があります。ここのカレーうどんが、非常に美味くてですね。
 
 お出汁王国、キングダム・オブ・ジャパニーズ・スープストックであるところの京都からやってきたような、そういうカレーうどんを出すんですね。「飛びますんで」なんつって、紙ナプキンを用意してくださるような、そういう客層を狙ったと思しき上品なカレーうどん。
 
 私、びっくりしました。カレーうどんもここまで来たかと。カレーうどんの夜明けぜよ!と。ただね、ここまでやってくれるならですね、どうしてうどんにコシの概念がないのか、そこんところ聞きたい(田原総一朗)。
 
 そもそもカレーうどんなんだから、雑で良かった筈なんですね。多少コシがなかろうと、別に気取った料理でもあるまいしええやないかと。でも、おずおずとナプキンをおしいただき、それを付け、お高くまとめてきたな、という雰囲気でこられると、そのせいで細かいことに目が行ってしまうんですよ。マクドナルドでつけまつけてる偏差値の低い女子高校生がなんか小汚いとしても、それは文句を付けるようなことではありませんが、西陣織で着飾った花魁が無駄毛処理を怠っていたら、そこに一抹の残念感が生まれてしまう訳で。
 
 W杯に出場するのが当たり前になって、そこで始めて出てくる不甲斐なさみたいなもんがあるんだと。次の目標は優勝だぞと。個人個人が高い意識で臨まないとダメなんだぞと。そう言う本田選手の言い分が、やっと私にも理解出来た瞬間でした。カレーうどん、ベスト8で敗退。
 
 私が何をいっているか、ご理解頂けるでしょうか。