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ガタガタ鰯太郎A

〜鰯太郎Aは二度死ぬ〜

夢@2014/11/20(爛れたハチクロ系)

 ジュンペー、カスミ、ミツヒコ、ノゾム、アイ、何人かの思い出せない連中、高校~大学のおなじみのメンツに加えてごちゃごちゃに取り混ぜた俺の知っている10人くらいと、どこかの飲み屋で飲んでいる。最近彼氏が嫁がどうしただの、あたし恋してないとダメなんすよだの、うっせえバカだの、しょうもない話をしょうもねえといいながら、みんなが笑って飲んでいる。

 その中で一人、カスミはアンニュイな表情をしている。周りに聞こえないように、少し声のトーンを落として俺が「お前、早くKとくっついちまえばいいのに。そうすりゃ安心すんだよ、俺達は」と言う。カスミは返事はせずに、寂しげに笑ってみせる。表情からは、そうっすね、でも、好きなものはしょうがないじゃないですか、というようなメッセージ。みんなの輪に戻ったカスミは、電車の時間を気にしている様子。先に出ます、というので三々五々解散する。

 気になった俺は、渋谷のど真ん中にある大学のキャンパスっぽい広場を、駅に向かって追いかける。スピードスケートの要領で体を動かすと高速移動できると知っている俺が、加速して幅のある芝生の盛り上がりをジャンプして超えてやろうとする。中学の同級生、仲良し女子3人が終電間際の渋谷のど真ん中の広場に座って、こっちを見ながら何か話している。ちょっと鰯太郎何やってんの!?うそ、そこ、飛び越えられるの?そんな言葉が聞こえる。俺に何かしらの優越感が生まれつつ、急がないと、追いつかないなと思う。更に前傾して、人の間を滑り抜けていく。スニーカーなのに。

 RPGに出てくる大神殿のような佇まいの(意識としては何故か品川駅の)建物前でカスミに追いつく。わざわざ追って来たのは、こいつがどこへ行くかなんとなく感じ取っていたからだ。自宅に帰るなら終電はもう少し先のはずで、行き先の見当はおおよそついていた。その確認と、ついでに俺が行き先を理解しているぞ、ということを示しておこうと思った。同時に財布を忘れていることに気がつく。「おい、見送りに来たぞ。急いだら財布忘れちまったじゃねえか」と言うと、諦めたような表情で「何やってんすか」と笑い返す。構内を無言で二人歩き、細い階段の上、木造の改札箱の前で俺は立ち止まり、居酒屋の下駄箱についているような木の札を1つ取る(入場券らしい)。

 「じゃあな」「じゃあ」ああやっぱり、こいつはこれからSの家に行くんだ。福岡に妻がいるSの、東京のマンションに。俺に止める理由も権利も無いし、好きにすれば良い。馬鹿な奴だなあ、と苦笑いしながら自分の終電も間近に迫っていることを思い出す。

 引き返して広場へ出ると、等間隔に自分探しをしている風の若者が座ったり立ったりしている。ここ数日で突然寒くなったのに、そいつらはどうも薄着だ。バカなんだろうかと思いながら前を通り過ぎると、「寒いと思うのは、自分の心が弱いからです!」「寒さから逃げるんじゃダメだ、寒さを受け入れて、もっと人生が輝くんだ!」というようなことを、居酒屋甲子園のノリで、あるいは何かの祝詞みたいに大音声で詠唱している。その言葉はたぶん、自分自身に向けて叩きつけているが自分自身そのものがない。だから空洞に響いている。ので、強めのリバーブがかかっている。いや、ショートディレイか?

 広場の先のほうで、こんな時間に政治家が街頭演説をしているのが見える。薄着の若者連の一人が論戦をふっかけていて、寒さで歯がガチガチ鳴っている。一方、政治家はスーツをバリっと着こなして、「ご声援ありがとうございます」とにこやかに応えている。話が噛み合っていないどころではない。

 慌てて家に帰ろうと思っていたら、勢い余って自分の部屋に(スピードスケートの姿勢で)突っ込んでしまい、漫画チックに逆姿勢のブレーキをかけて派手に音を立てながら止まりかけていると、俺のベッドで親父がミホと寝ている。正常位だ。ブレーキングの姿勢からスムーズにしゃがみ体勢に移行して、部屋入り口の背の低い本棚に身を隠す。視線が遮られる前のほんの一瞬、目があったミホは「鰯太郎くん、ごめーん」の表情。ミホがすまなそうな顔をすることと、自分が全然ショックを受けていないことのギャップにむしろ愕然とする。

 親父はこちらを見ていないが、先ほどのブレーキ音で気がついていないはずが無い(漫画チックにザザザーッ、と音がしたので)。そのまま座りこんで息を潜めていると、リズミカルに鼾の音が聞こえてきた。鼾って普通、不規則な感じじゃないか・・・?そういえば、財布はちゃんと取ってきたんだっけ・・・と尻のポケットを確認する。あ!こいつセックスの音を鼾で誤魔化してやがんな・・・!!

「っつーかセックスは続行するんかい!」

と思ったところで目が覚めた。(大体見たとおり)

 

 ※実在の人物とはもちろん関係がありません