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ガタガタ鰯太郎A

〜鰯太郎Aは二度死ぬ〜

数冊で完結して、手軽に読める漫画ベスト10

漫画 セレクト

 3冊以内で完結する、短篇集ではない漫画の中から、超イカス漫画を並べてみました。

 

1位 僕らはみんな生きている 山本直樹×一色伸幸

 マイ・フェイバリット短編。

 ゼネコン社員が架空の国タルキスタンでODAを回収するプロジェクトに投入され、内戦に巻き込まれたり、軍事政権とパイプを作ろうとして接待ゴルフしたり、パスポートを偽造しようとしたり、壊れた駐在員が初代シムシティの50万人達成セーブデータをふっとばされて発狂したりする、ジャパニーズ社畜スラップスティック・コメディ。しかし、ただのコメディには非ず。自分は何者なのか、狂っているのは一体誰なのか(実は俺か?)、正気とは狂気とは、自分の帰るべき場所とは(実はそんな場所は無いのではないか?)、様々な自問が浮かび上がり、読んでいる俺を揺さぶってくる。夢と現実の境目が溶けてしまったかのようなラストシーンは圧倒的。超すごい。すごいのだ。

 発表からかなりの年月が経っているので、作品の背景に存在する「バブル期の狂った空気」は次第に過去のものとなりつつある。けど、この短編は90年代コンテンポラリなバブル狂騒ドラマにとどまらない文学性を獲得している。いるったらいる。(山本直樹の社会との距離の取り方が負っている部分が大きいのではないかと思う。)

 

 

2位 レベルE 冨樫義博

 今田と東野が超似てる。冨樫先生、お仕事して下さい。

3位 素晴らしい世界 浅野いにお

 短篇集っぽいが、一貫した世界観の連作短編なので入れてみた。淡い色彩と太い線がクール。でも、サブカル感で敬遠する人も多いんだろうなあ。読んでいると、ちょっとサウンドノベル「街」みたいな感覚を覚えます。様々な人の人生が交差、までいかないけどところどころ関わってる、その感じが俺にはグッとくる。

4位 東京トイボックス(旧版)うめ

 10巻で完結した「大東京トイボックス」のモーニング連載バージョン。大東京の前日譚としても読めるし、独立した掌編としても読める。2巻という短い連載期間にも関わらずキャラがちゃんと立っていて、ストーリーも破綻させず、なおかつゲーム好きに刺さりまくる内容になっていて、今読み返してもとても良い出来だなと感心する。

 今でこそ人気漫画の仲間入りを果たしたが、終了当時は、こんな真摯に面白い漫画を描いてる人の連載が打ち切られるなんて、モーニング終わったなと心底思った。再起動できて本当に良かった。ついでにちゃぶ台ケンタと南国トムソーヤもよろしくお願い申し上げます。

5位 子供はわかってあげない 田島列島

 習字上手ボーイ、ミーツ魔法少女好き水泳ガール。

 今年の「このマンガがすごい!」10位〜20位あたりにランクインするのではないか、いやいやそれは言い過ぎか、入らなかったら抗議の質問をYAHOO知恵袋辺りに連続投稿したろうか、まちょっと覚悟はしておけ、くらいに思っている。

 田島列島先生はちょっと変なセンスをしていて、出てくるキャラクター、ストーリー、背景の落書きなど全てがほのぼのとしているのにどこか決定的にズレており、画面からにじみ出る所ジョージ感がうすぼんやりした多幸感と中毒症状を引き起こす。

 この「子供はわかってあげない」もとても良いのだが、連載開始前に掲載された短編「おっぱいありがとう」が白眉であってショービノキューであり、講談社様におかれましてはさっさと短篇集を出して下さいますよう宜しくお願い申し上げます。5兆冊買います。

6位 大漁!まちこ船 三宅乱丈

 タイトル通りと言えばタイトル通りの漫画なのだが、読んでみるまでサッパリ内容がわからない上に、どギツイ黄色に大漁旗、荒れる海という背景に超油ギッシュなフォントででかでかと「大漁!まちこ船」と書かれた表紙で、マーケティング的に重大なハンデを背負った不幸な怪作。ま、読んでみたところで内容が理解できる訳ではないのだが、頭が吹っ飛ぶようなシュールな設定に度肝を抜かれること間違いなし。とりあえず一読をお勧めする。まちこの職業は魚の餌である。

 

7位 Sunny Sunny Ann! 山本美希

 自由な心を持つアンが車で旅をしながら、老いた富豪と若い娘の夫婦や、親子喧嘩中の母と娘、様々な人に出会い、身体を売ったり、人助けをしたりしながら関わって、やがて別れてまた旅に出る、ロードムービー的漫画。

 トーンを使わず、陰影が濃く筆圧の高い独特のタッチの絵で、一話ずつに重いテーマの映画を一本見終わったかのような重量級の読後感がある。孤独、帰るべき家、家族、社会と人との関わりについて、アンと人々の間で交わされる会話が温かい。社会から疎外されていると感じている人に。

8位 邪眼は月輪に飛ぶ 藤田和日郎

 言わずもがなの藤田先生。見ると死んでしまうフクロウと、マタギのジジイのガチバトル。ガチ輪はガチ。生まれた時から超アヘ顔。(©平野耕太

9位 国民クイズ 加藤伸吉×杉本伶一

 「エッフェル塔が欲しい」「隣の奥さんを殺して」など、優勝すればあらゆる望みが叶えられる国民クイズが開催される、「国民クイズ体制」移行した日本を舞台に繰り広げられる、スラップスティックディストピアコメディ。国民クイズの結果はあらゆる権利よりも上位に位置づけられているため、それがどんな望みであれ、国家権力を駆使して必ず実現される。Dモーニングで復刻連載中。

 

 

 ベスト10とか言って9本だけど、そんな細かいことは良いんじゃね?(ビールの勢いに任せて公開するボタンを押す)