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ガタガタ鰯太郎A

〜鰯太郎Aは二度死ぬ〜

最近のスピリッツ(忘却のサチコがすごいのと、テンプリズムが心配)

漫画

 曽田正人先生が「テンプリズム」というファンタジー漫画を連載中で、たしか初めて原作(原案?)付きの体制で描いていると思うんだが、出来がよろしくない。心配だ。

 曽田先生はこれまで天才が才能に目覚めることとその葛藤を主題に扱ってきたが、どれも良い漫画だった(個人的にはめ組の大吾が白眉)。しかしテンプリズムだけがどうにもつまらない。

 曽田先生の漫画は作話と作画が不可分な個性になっている。画面の暑苦しさが、傍からは一見理解できない天才のよくわからん行動原理に謎の説得力を持たせたりしている。曽田絵には、曽田話でないとダメだ。小畑健先生にストーリーを考えさせてはいかんのと同様、作家さんにはそれぞれ向いている制作体制というものがある。幸村誠先生や岩明均先生に週刊連載をさせてはいかんのだし、曽田先生には自分でストーリーを考えていただきたい。結果、魂が合ってない感じになってしまっている。

 テンプリズムの冒頭、悪と戦う不思議なチカラが血筋によって獲得されてしまった時点でこれは曽田漫画ではないなあと思ったが、かといってこれまでの曽田漫画に無い新たな魅力というのも今のところ感じられない。うまくテコ入れされるとイイなあと思うが、曽田先生が原案に対してガンガン意見を出して、ぶつけていけるような環境じゃ無いのかも。

 

 ところで、スピリッツの連載はいま、とてもレベルが高い。面白い漫画ばっかりなんだが、個人的には以下の5つを楽しみにしている。中でも「忘却のサチコ」はかなりきている。

 

・王様達のヴァイキング

エンジェル投資家が、コンピューターとしか意思疎通が上手く出来ない自閉症気味の少年を発掘し、この少年がハイテク犯罪に対抗するハッカーとして、自分だけの武器、自尊心を獲得して成長していく話(曽田先生のお株を奪っている)。毒を以って毒を制す感がいい。

健康で文化的な最低限度の生活

お役所もの。生活保護の現場に出る新人公務員の話。出てくるエピソードが妙に生々しく、主人公の不器用さ加減がイライラして楽しい。

あさひなぐ

薙刀少女部活モノ。最近の、2年生に進級して後輩ができたあたりの話が良く出来てる。

・白暮のクロニクル

一般社会に混じった吸血鬼(長命者)と、それを管轄する厚生労働省のお役人、を取り巻くサスペンス。長命者が第二次世界大戦の頃に苛烈な人体実験を受けていたことや、厚生労働省の人間と一部の長命者とのエピソードなど、舞台設定、キャラクターの基本的な関係などがだいたい説明し終わって、本筋の話が展開し始めたところだと思われる。これからどんどん面白くなっていくところ。ゆうき先生さすがっす。

・忘却のサチコ(新連載)

個人的に激推し。コメディタッチの女子グルメものだが、至るところが「なんかヘン」で目が離せない。結婚式で新郎に逃げられたクールで少々ずれている女子が、自分が強烈な精神的ダメージを受けていることに気づくに至り、美味いものを食った時だけ彼のことを忘れることができるので、美味いものを求めて食い歩く、という設定になっている。涅槃顔で鯖味噌定を食ったり、トルコライスを万全の状態で食うために中学生に混じって部活で汗を流し、体操服(変なTシャツ?)のまま長崎から東京に帰ってきたりする、よくわからん漫画。このよくわからなさがすごく良い。

 

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鯖味噌を食うサチコ