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ガタガタ鰯太郎A

〜鰯太郎Aは二度死ぬ〜

読書感想文:物理学すげえ。『「余剰次元」と逆二乗則の破れ』

 科学の進歩はマジヤバイ。最先端の物理学は「2つ以上の余剰次元が人間が暮らす時空と並行して存在している可能性がある」と主張しているらしい。主張の意味すらよく分からない。

 しかし、この本を読み終えると、うん、あるっぽいよな、確かに、と思ってしまう。それどころか、何故あるっぽいのか、誰かに説明したいとすら思ってしまう。それだけの説得力と、わかりやすさ、そしてワクワク感を備えている。科学ってすげえ。

 タイトルの通り、結論は「余剰次元」という大変難解な概念についてだ。だから当然、内容に難しい部分はある。読者が理解できるよう、本論に至るまでの5つの章は、入念な事前準備にあてられている。

 近代的な科学的方法論に先鞭をつけたティコ・ブラーエ、ケプラーニュートンの業績、キャベンディッシュの実験などを踏まえつつ、相対性理論素粒子物理学量子力学などのおおまかな内容。これらを大づかみにした上で結論部を読み進めると、ぬおおお、と唸る展開が待っている。

 この本を読むまでは、「最先端の科学って変なもの」と思っていた。だって、11次元宇宙だの、ひも状だの、宇宙は膨張しているだの、とんでもないことを言い出すんだもの。高次元宇宙からやってきたド天才生命体じゃないと理解できない話だと思ってしまっても、無理はないでしょう。

 ところが、それらの理論がどんな背景から生まれてきたのか、二百数ページを読むだけですんなり納得できてしまう。なんとお得な一冊だろう。

 逆二乗則とそれが破れることの意味、余剰次元という概念の導入がその破れを上手く説明するモデル足りえること、それが力の統一理論を見出す過程で考えだされ、今まで積み上げてきた物理学の知見、数々の実験の結果と矛盾なく成り立つことが精緻に積み上がっていく。

 最先端の物理学者の興奮を追体験できる貴重なテキストだ。エキサイティングです。