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ガタガタ鰯太郎A

〜鰯太郎Aは二度死ぬ〜

優しい娼婦のつくりかた

 なんというか妄想が捗る日があって今日がその日なんですが、駅から歩いている途中にマルチーズに吠えられ「フッ。弱い犬ほどよく吠える。」とか思っていたらマルチーズが逃げていったので、俺の殺気に気が付くとは、まんざら馬鹿でもないようだな。とか思いながら帰宅しました。

 一つ自分の人生に悔いがあるとすれば、それは今日信濃屋でオリーブを買い忘れたことであって、進撃の巨人12巻、2冊目を買ってしまったことなどは取るに足らない些事なのだ。ぐぬぬ、と唸りつつ間髪入れずに別の妄想が入り込んでくる。

 ひょんなことから転がり込んできた16歳の少年に恋をしてしまった娼婦が、その男の子に自慢のスパゲッティを作ってやろうとした。だが、荒れた生活を送っていたために食材の買い置きが全然無く、ケッパーはおろかアンチョビも、ニンニクすらない。娼婦の台所には、ベーコン、トマト缶、唐辛子と、ガラス瓶の中の酢にオリーブが2〜3粒浮いているばかり。仕方がないので引き出しの奥から引っ張りだしてきたスパイス入れの中から使えそうなタイムの小瓶と黒胡椒を見つけて、それで香りを整えた。

 美味そうに、屈託なく笑いながら自分の料理を食べる少年を見て、娼婦は「このスパゲッティは、まるで今の私みたいじゃない」というようなことを思いながら、未来のある少年と、自分を見比べて悲しく微笑んだ。的な設定のレシピです。

優しい娼婦風スパゲッティ

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ホールトマト 100gくらい

オリーブ 2〜3粒

オリーブオイル 適量

ベーコン 2〜3枚

白ワイン 適量

唐辛子 適量

タイム 適量

 

1.使い古した真っ黒なフライパンで、ベーコンを炒める。強火。

2.片面が焦げて油が出てくる感じになったら白ワインをガッ、と入れる。ジュワジュワ言う。

3.アルコールが飛んだらオリーブオイル、唐辛子、ゆで汁を入れてフライパンを振る。茶色の美味そうな汁ができたのを確認する。

4.ホールトマトを入れて、潰す。オリーブも入れて、潰す。タイムをどばどばふりかける。

5.茹で上がった麺をフライパンに移し、絡める。オリーブオイルを適量かけ、混ぜる。

6.皿に盛ったら黒胡椒をぶっかける。

7.泣き笑いのような顔で食う。

8.意地悪な気持ちで苦いコーヒーを淹れ、タバコをふかしながら窓の外を見る。

 

 白ワインはたっぷりあるあたりやっぱり娼婦の生活は荒んでいるんだな、という感じや、化粧やハッタリや手練手管で自分をよく見せかけても、本質を見ぬかれるのを恐れている、けれど少年は若さゆえそれに気づかない=屈託なく美味そうに食っている、あたりを感じ取って頂いても何ら味の保証はいたしません。最近、トマトにタイムいれて煮こむのが流行ってんだよね、俺の中で。